警察から逮捕の連絡が来たらどうする?
「 あなたの家族が警察に逮捕されています。」そんな連絡が来た場合はどうしたらよいでしょうか?この段階で、なるべく早くに、弁護士を呼んでいただくことをお勧めします。
逮捕されると、逮捕の時間は最大72時間ですが、その後には勾留という手続きが待っていて、最大で逮捕の時間と合わせて23日間は身柄を拘束されてしまいます。
会社勤めの方は会社を休まなければなりませんし、近いうちに冠婚葬祭の行事がある場合は行事への出席も難しくなってしまいます。何よりも警察に捕まっているという事実が、誰かにバレてしまった場合の社会的なダメージは、仮に後に無罪が確定したとしても、払拭できないことが多いことが否定できません。
身柄釈放のためには、なるべく早期に弁護士が対応する必要がありますので、すぐに弁護士を呼ぶようにしてください。
初回接見は極めて重要です
警察に逮捕されてしまった場合の、初回接見(身柄拘束中の被疑者と面会して話をすること)は非常に重要です。逮捕されてからの72時間は、原則として、捕まった方と弁護士以外との接見が禁止されています。
この段階で、
どのような容疑で逮捕されているのか
釈放のために何ができるか
今後の弁護方針をどうするか
冤罪で有罪にされないためのアドバイス
を最大限吟味して、身柄釈放のための弁護活動を早急に行うことが大事です。
この初回接見を最大限活用し、身柄釈放のため,捜査機関や裁判所への働きかけを行っていきます。仮に、その後、勾留決定が出てしまった後は、保釈がなされない限りほぼ追加で20日間、ずっと身柄拘束がなされてしまいます。初回接見で必要な事情聴取とアドバイスを行い,逮捕後72時間で何ができるかが、身柄釈放のための極めて重要なポイントとなってきます。
逮捕勾留の要件とは
逮捕や勾留という形で、身柄が拘束されるためには、
犯罪の容疑はもちろん、
証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれが必要
とされています。また、重大事案であればあるほど、起訴の可能性が高ければ高いほど、身柄拘束が継続される可能性が高まるといえます。
身柄を拘束し続けるか、 釈放するかについては、検察官や裁判所が決定していきます。従って、逮捕後72時間の間には、検察官に対して、勾留請求をしないように働きかけ、勾留請求がなされてしまった場合でも、裁判所に対して勾留決定を出さないよう働きかけていくことが極めて重要となってきます。
具体的には、
身柄拘束の必要性がないこと
身柄拘束の要件を満たさないこと
を可能な限り書き綴った意見書を検察官に提出し、 検察官に面会して説得したり、同じく裁判所に対して、身柄拘束を解くべきであるという意見書を提出したり、裁判官に面会して説得したりすることによって、 早期の身柄釈放を目指していきます。
被害者がいる事件の場合には、被害者と示談を成立させることも極めて重要です。この限られた時間の中で、フットワークを軽く、迅速かつ適切に弁護活動を行うことが、早期の身柄釈放に繋がります。
このように、身柄釈放のためには、
検察官の説得
裁判所の説得
被害者との示談
身柄釈放のための証拠収集
が極めて重要となってきます。
身柄を拘束され続けるということ
警察署の留置場などで、身柄を拘束され続けるということは、予想以上に辛い生活と覚悟する必要があります。物を授受すること自体についても、基本的には警察署を通しての差し入れという形で行う必要があります。連絡を取るにも、基本的には電話連絡はできませんので、接見に来てもらうか、手紙を出すなどの方法によらなければなりません。通常は着替えなども持っていないので、これを差し入れてもらわないと着替えさえもない状況です。
何よりも、普段の生活が全くできなくなることがとにかく大変です。会社勤めの方は、 会社を休むにしても、23日間も理由をごまかし続けるわけにはいきませんし、 全国ニュースにはならなくても、 地方紙などで逮捕の事実が報道されてしまうと、 仮に無実であったとしても、 世間的には、 逮捕された以上は犯人であろうというイメージがどうしても付きまとってしまいます。
会社を23日間も休んでしまえば、場合によっては解雇という可能性もありますし、逮捕された方にとって、なるべく早くに身柄を釈放されることは、何よりも優先したい最優先事項といえます。
痴漢の冤罪事件などでは、否認し続ける限り釈放してもらえないということで、やってもいない罪を認めてしまうケースもあるようですが、罪を認めてしまえば、 前科がついてしまう可能性が極めて高くなります。
「絶対にやっていない」ということであれば、嫌疑不十分として釈放してもらうことも視野に入ります。この点も、どういう方針で進めるべきか、弁護士としっかり協議する必要があります。
身柄釈放は弁護士の腕にかかっている
早期に身柄釈放してもらえるかどうかは、 何と言っても弁護士の腕にかかっています。
身柄釈放のためには、
被害者との示談能力
検察官への意見書作成
面会における説得の能力
裁判所に提出する証拠や意見書の作成
裁判官に対する説得の能力
身柄釈放のための証拠を集めるフットワークの軽さ
身柄釈放のための説得要素を、迅速かつ適切に最大限集める能力
が、 弁護士の能力として問われるわけです。
この意味においては、選任する弁護士によって、身柄釈放の可否も、釈放の時期も、大きく変わってきますので、弁護士を選任する際にも腕のある弁護士を選ぶべく、十分な吟味が必要と言えるでしょう。
刑事事件はスピード勝負です
繰り返しになりますが、刑事事件はスピードが勝負です。警察で事情聴取を受けている段階であっても、その後に逮捕される可能性があるわけですから、逮捕後はもちろんのこと、 むしろ逮捕前であっても、身柄釈放のための準備は早いに越したことがありません。
何よりも、勾留決定がなされてしまうまでの逮捕後の72時間は極めて重要です。
なるべく早くに、 頼れる弁護士を選任し、身柄釈放のための弁護活動を行うことが、今後の人生を大きく左右するとも言えるでしょう。刑事事件は、 とにかく早急に、 弁護士に相談するようにしてくださいね。