みなさん、こんにちは。
今回は、いよいよ相続法の改正の中身、遺言書について触れていきます。今回は、自筆証書遺言に関する改正をひとつご紹介します。
・遺言書の主なスタイルは?
これから遺言書を書こう!と思い立ったとき、まず気になるのは、遺言書のスタイル、です。遺言書の種類は色々あるのですが、一般の方の場合、自分で書く場合は「自筆証書遺言」、それだと心配だという場合は「公正証書遺言」のどちらか、ということがほとんどかと思います。それぞれの内容、メリットデメリットは、当事務所の篠田恵里香弁護士のコラム(https://heiwa-law.jp/column/155/)中、「遺言書ってどうやって作るの?」のコーナーで詳しくご紹介しています。そちらをご参照下さい。
・自筆証書遺言の要件の緩和(今回の改正)
今回の相続法改正では、自筆証書遺言の要件が緩やかになりました。自筆証書遺言のデメリットのひとつに、「全文を」自書しなければならない、ということがあったのですが、今回の改正で、
「財産目録については」自書していなくてもよい
とされたのです。これは、相続財産を多数お持ちの方で、自筆証書遺言を作ろう!という方にとってはとても楽になる、ということになります。
・これまでの財産目録の書き方
具体的に考えてみましょう。預貯金口座を10口座、土地と建物を合計30筆お持ちの方。これまでのルールだと、勿論口座全部、土地と建物全部、自分の手で書かなければいけませんでした。「財産目録って、どう書くの?という方もおられるかと思いますので、一つずつ例を挙げてみましょう。こんな感じです(内容は勿論全て架空です。)。
【銀行口座の表記例】
みずほ銀行 池袋支店 普通預金 口座番号0000000
【土地の表記例】
所 在 豊島区東池袋八丁目
地 番 100番
地 目 宅地
地 積 250.12平方メートル
【建物の表記例】
所 在 豊島区東池袋八丁目100番
種 類 居宅
構 造 木造亜鉛メッキ鋼板葺平屋建
床面積 100.17平方メートル
元気なうちでも骨が折れるのに、ご高齢の方にとってはなかなかの負担、ということがお分かりかと思います。
・書き方は具体的にどう変わる?
今回の改正で、こういった財産目録について、Wordや一太郎といったワープロソフトで作成してよいことになりました。また、不動産については法務局で取得する登記事項証明書の写しや、預貯金については預貯金通帳の写しを添付して目録として使用することもできるようになったのです。
自筆証書遺言をこれから作ろう、という方、しかもお持ちの財産が多い方にとっては、大きな負担軽減になることは間違いなさそうです。
次回は、自筆証書遺言のもうひとつのデメリットが解消される、という内容に触れていきます。