離婚のためのハウツーを知ろう!

日本では3組に1組が離婚すると言われています。もちろん,夫婦円満で何の問題もないことが1番ですが,「離婚」の二文字が頭をよぎったことがある方も少なくないのではないでしょうか。「万が一離婚になったら・・」と考えている方にも,ぜひ知っておいていただきたいことを,これから3回に分けて,お話ししていきたいと思います。

離婚問題は,弁護士の間でも,複雑かつ難しい問題を多数含む分野とされており,詳細まで熟知することは難しいかもしれません。しかし,法律に精通していない方でも最低限の知識を備えると備えないのとでは,結果全く変わってくる分野です。
難しい法律のお話もわかりやすくお話ししますので,ぜひお付き合いください。

離婚を考えたときにはどうしたらいい?

離婚を考えた際,何も取り決めずに,離婚届を役所に提出する,これだけで済ませてしまう方もいるかもしれません。しかし,いったん離婚届を役所に提出してしまうと,その後「しまった」と気づいて何か請求をしようとしても,手遅れになる可能性があります。

また,準備不足で勢いで離婚してしまった後に,

・住む場所や生活さえままならない

・子供を育てていくのに一苦労

といった事態に陥ることも少なくありません。やはり,離婚を考えた際には,

「慌てず冷静になること」

が1番大事です。

その上で,離婚の際には,

・どのようなことを取り決めておくべきなのか

・どのような手続きで離婚をすべきなのか

・離婚の話し合いを有利に進めるためにはどんな準備が必要なのか

をしっかり知っていただいて,その上で冷静な離婚の話を進めていくことをお勧めいたします。

離婚の手続きにはどんな種類があるの?

一言で離婚といっても,法的にはいろいろな手続きがあります。

1番有名なのは離婚届にお互いがサインをして,役所に届ける
「協議離婚」
というものです。これが圧倒的に多い離婚の方法となっています。

その他には,
「調停離婚」
といって,家庭裁判所に調停を申し立てて,調停の場でお話をすることにより,離婚を成立させるものがあります。最近は,芸能人も,「離婚調停を申し立てた」なんてニュースがよく聞かれるようになりました。裁判所の手続きなんて・・・と敬遠される方も少なくありませんが,当事者間で泥沼のお話し合いを続けるよりは,調停委員が介在することによって,うまく話し合いが進むこともあります。

あまり使われていない手続きですが,
「審判離婚」
とは,調停の話し合いがうまくまとまらなかった場合に,そのまま審判という手続きに移行して,家庭裁判所が離婚すべきかどうかを決定するものです。この審判離婚は,どちらか一方が異議を申し出た場合には,そのまま裁判になってしまいますので,日本ではあまり使われていないと言われています。

「裁判離婚」
とは,離婚したいという裁判を起こすことによって,裁判所が離婚すべきかどうかを判断する方法による離婚です。裁判離婚が認められためには,裁判上の離婚原因といって,例えば,

「相手の不貞行為」
「3年以上生死不明」
「ひどいDV」

などが必要になります。
「婚姻を継続しがたい重大な事由」
がある場合に裁判離婚が認められる,という言われ方をしますが,このハードルはなかなか高く,「性格の不一致」や「相手への愛情がなくなった」といった理由では,裁判離婚はなかなか認められません。

「和解離婚」
とは,離婚の裁判を起こしたけれど,最終的な判決までは行かずに裁判所において和解をして離婚を成立させるものです。判決で離婚をするよりはその直前で離婚を成立させた方がよいということで,裁判となった場合に和解で離婚するケースも少なくありません。

日本では,調停前置主義と言って,離婚の調停をして,お話がまとまらない場合に,初めて裁判を利用できる資格を得られます。そのような理由から「離婚裁判」まで至るケースは極めて少なくはなっています。
このように,離婚といっても様々な手続きがあることから,どの手続きによって離婚を成立させるかについても,その都度最善の方法を選んでいく必要があります。