今日は、「意外に高額となる治療費」の負担についてお話していきます。
治療費は保険会社が全額払ってくれる?
事故にあって怪我をされると、通常は、
加害者側の保険会社が、医療機関に通った分の治療費を、
初回分から全額立て替えて負担してくれる
のが一般的です。これを一括対応といいます。
細かい話になりますが、加害者の加入する保険会社と言うのは、自賠責保険と任意保険があって、
自賠責保険は強制加入
任意保険は(その名の通り)任意加入
ですが、ほとんどの方が任意保険には加入されていると思います。
通常のお怪我の場合は自賠責保険から120万円までは保険が下りますが、
自賠責保険から直接支払ってもらうのではなく、
任意保険会社があらかじめ自賠責の分も治療費を立て替えておき、
事件が解決した後に自賠責保険のほうに負担を求める
という流れになることがほとんどです。
過失割合に気をつけて
ここで、何よりも気をつけていただきたい点は、
治療費について過失部分は、最終的に自腹になる
という点です。
過失割合が100対0ではない事故の場合、例えばあなたの過失が20%あるような場合は、
治療費についても20%は自己負担
となるわけです。
たとえば6カ月間の間、整形外科や整骨院へ通っていた場合、この治療費については、
形式的には保険会社が全額支払ってくれている
と思います。なので、被害者の方は、
治療費に関して自腹はないと考えてしまいがち
なのですが、実はここに大きな落とし穴があります。
いざ治療が終わって最終の示談の際に、慰謝料を受け取ろうとする場合に、
これまでの治療費の過失割合分20%については、
慰謝料から差し引きます。
といったような対応がなされるのです。
交通事故の治療費については、むち打ち症でも、高い方は200万円や300万円と言った金額になるので、例えば、
治療費が300万円円だった場合には、
あなたの過失割合がなので、
300万円× 20% =60万円が自腹となり、
本来受け取るべき慰謝料が100万円であっても、
最終的にはこれまでの治療費自腹分60万円を差し引かれ、
受け取る実際の金額は、100万円− 60万円= 40万円となってしまう。
ということなのです。
このように、過失割合が100対0でない場合には、治療費のかかりすぎにも注意が必要になるわけです。このような見地から、
最終的に差し引かれる金額を減らすためにも、
交通事故の治療には、健康保険を使いましょう
という考え方が浸透してきているわけです。
検査や診断書の費用は自腹なの?
交通事故で怪我をされた場合に、保険会社が治療費等を支払ってくれるのは、民法709条と言う法律が根拠になっています。民法709条によれば、
交通事故によって、怪我をした場合に、
通常必要となる費用については、
(加害者に代わって)保険会社が負担すべき
ということになります。
となれば、交通事故で怪我をされ、負傷部位の検査が必要となった場合には、その費用についても保険会社が支払ってくれるのは、民法709条により当然ということになります。ゆえに、レントゲンやMRI、診断書などを取った費用についても、基本的には保険会社が負担します。
ただし、先ほど述べた過失割合が100対0でない場合には、ご自身の過失部分については差し引かれますので、検査代や診断書料についても、ご自身の負担部分は自腹になってしまう事は避けられません。
このような場合は、ご自身の加入している任意保険会社に、
人身傷害特約などの、特約を使って、過失部分を補填してもらえないか
を尋ねることをお勧めします。