交通事故にあい、体を使う仕事をしている方はもちろん会社を休むことになると思います。デスクワーク中の方でも、パソコンを打つのが辛くなって会社を休んでしまったり、そのような状況でなくても、平日に病院に行くために会社を休まざるを得ないようなことがあるでしょう。
会社を休んだ場合は、

通常はお給料が減りますので、ここの部分の補償が問題

になってきます。これを「休業損害」と言いますが今日は休業損害の話をしていきましょう。

会社を休んだ分は保障してもらえる?

「事故によって怪我をして、会社を休まなければならなくなった」という関係にあるのであれば、何度か出てきましたが「民法709条の不法行為」に基づいて、会社を休んだ分も補償を受けることができます。
通常は、会社員の方は、会社から「休業損害証明書」という書面を書いてもらい、

交通事故にあった後、何日間休んだのか、
これまでのお給料はどうだったのか、
お給料が休んだ分どれだけ減ったのか、

について、この休業損害証明書に基づい判断していくことになります。

気をつけなければならないのは、休んだ日数やお給料の金額に基づいて、

支払われる休業損害の計算方法が、何通りかあって
計算方法によって金額が大きく違ってくる

ということです。
保険会社は、支払う側の立場なので、休業損害をなるべく低くという形で計算してきます。

お給料の金額についても、
日割りの金額についても、
休業日数についても、
低く見積もってくる可能性がある

ので注意が必要です。

逆に、請求する側としては、

法的に請求できる可能性がある限り、最大の金額を主張していく

ことになります。
また、

残業代をどうすべきなのか、
事故によってボーナスが減った分はどうなるか、
会社を辞めた場合にどうなるか、

など、その他の要素も交通事故に関係がある場合には、この辺も吟味が必要となってきます。このような場合は分析が必要となるので、ぜひ弁護士を頼ってくださいね。

有給を使って会社を休んだのだけど?

交通事故で怪我をして、通院等のために会社を休まざるを得ない場合、もちろんお給料は減らして欲しくないですね。したがって、有給休暇が残っている方は、有給を使って会社を休んで、その日に病院に通われる方も少なくありません。
ここで、「休業損害」というのは、

会社を休んだことによりお給料が減った部分を、
保険会社が補償してくれる

というものになるので、

有給休暇を使った場合は休業損害が出ない?!

と考えている方も少なくありません。

これについては、

有給休暇を使ったために減収がなかった場合も、
実際に会社を休んでお給料が減った場合と同様に、
休業損害が支払われる

というのが、法的な考え方です。有給休暇1日分についても、もちろん経済的な価値があるわけですから、有給を使って会社を休んだ以上は、お給料が減ったと同様に見て、休業損害を請求できるわけです。
有給休暇を使った場合の休業損害の計算方法も、

有給休暇1日分をいくらと計算すべきか、
また有給休暇の消化の日数を何日として計算すべきか

について、保険会社と争いになることが少なくないので、最大の金額を請求できるようにここも弁護士を頼ってくださいね。

会社を早退したり遅刻をした分は?

病院へ通院するために、会社を丸一日休まずとも、

午前中を欠勤したり、
午後の数時間を早退したり

という形で会社の勤務時間を削るケースも少なくないと思います。
これについては会社にもよりますが、

時間計算でお給料の差し引きがされたり、
欠勤の時間を計算して、これを有給休暇に当てたり

といったケースが多いです。
もちろん、遅刻や早退という形でこのような処理がなされた場合、お給料が減ったり、有給休暇が消化されたりしていることになりますので、ここについても休業損害をしっかり請求する必要が出てきます。
遅刻や早退については、そもそも休業損害として認めてくれなかったり、仮に認めてくれたとしてもその計算方法に争いが生じたりするケースが多いので、会社の遅刻や欠勤に対する補償について悩まれた場合は、ここもぜひ弁護士を頼ってくださいね。

会社を辞めることになってしまったけれど?

交通事故で大怪我をされて、会社を休む状況が長く続いた場合、場合によっては会社から、

もうこれ以上雇えないからやめてくれと言われたり、
今後も復帰の状況が見えない限りそのうち会社を辞めざるを得ない

といったケースも少なくないと思います。
また、現在の業務内容がそもそも今後不可能で、会社を転職せざるを得ず、会社を辞めて就職活動に励むと言う方も少なくないと思います。
会社を休んだ分に関しては、休業損害と言う形で保険会社が補償してくれる話はしましたが、会社を退職した後は、そもそもお給料がもらえない立場になるわけですから、この辺の補償がどうなるかは死活問題となってきます。

法的には、

事故によって怪我をして、会社を辞めざるを得なかった

という関係が認められるのであれば、

会社を退職した後、新たに就職できるまでの相当期間、休業損害が支払われるべき

という考え方がとられています。

実際の進め方としては、退職する会社から、「退職証明書」という書面を書いてもらい、「事故によって退職となってしまった」ということを証明していきます。
退職後、いつまで休業損害を補償してもらえるかについても、保険会社との交渉が極めて重要となってきますので、この辺も弁護士を頼ってくださいね。