本日も「休業損害」について学んでいきましょう。

専業主婦だと休業損害は出ない?

交通事故によって会社を休んでその分お給料が減った、
その減給分を補償してほしい

というのが通常の「休業損害」となります。
実際の手続き上は、「休業損害証明書」という書面に、

休んだ日付と日数
事故前3か月のお給料の金額
休業によって減ったお給料の金額

などを記載してもらって、保険会社がその記載に基づいて計算し、休業損害を支払う流れとなります。

休業損害は、こういったイメージであることから、

専業主婦の方は、休業損害がもらえると言う認識がない

方がほとんどです。しかしながら結論として、

専業主婦の方でも休業損害を受け取ることができ、
しかも通常の会社員の方よりも高額になることも多い

といえます。

主婦の仕事、家事についても経済的価値がある

専業主婦の方は、おうちでご飯を作ったり、洗濯や掃除をしたり、といった家事をたくさん行っています。しかしながら、事故で怪我をした場合には、

このような家事が一切できなくなったり、
仮にできたとしても効率が悪くなったりする

ことが少なくなく、家事に相当な支障が出る事が通常です。

このような場合、主婦の方は、

家事ができなくなった、
もしくは、家事に支障が出たことを理由として、
休業損害を計算して請求することができる

とされています。

法的な考え方からすれば、専業主婦も、家事という立派な仕事をしており、

家事は、会社に勤めている方と同様に経済的な価値がある

とされているからです。

具体的な計算方法としては、

賃金センサスと言う厚生労働省の作成した表に基づき、
女性労働者の平均年収を基礎として、
家事ににどれだけ支障が出たかを計算していく

ことになります。

例えば、

事故後1ヵ月間は80%、
3ヶ月までは60%、
5ヶ月までは40%、
7ヶ月までは20%、

家事に支障が出たとして、女性労働者の平均年収を分かりやすく365万円(実際にもだいたいこのくらいの金額で計算します。)だとすると、

365万円÷365日 × 80%× 30=24万円
365万円÷365日 × 60% × 60日=36万円
365万円÷365日 × 40% × 60日=24万円
365万円÷365日 × 20% × 60日=12万円

合計96万円

という計算になります。このように、「専業主婦として家事がこれだけ経済的価値を損なわれた」として、休業損害を請求していくことになります。
もちろん通常はこれを丸々了承してはもらえませんが、会社員の方で、会社を30日間休んだような方よりも、専業主婦の方の休業損害は、ずいぶんと高額になる可能性があります。この点はしっかりと主張していくことが大事です。

また、家事の休業損害については、相当に概念的な考え方ではあるので、

保険会社との交渉力

が示談金額に大きく影響します。ここは、交渉力のある強い弁護士を頼ってていただくことをお勧めします。

兼業主婦の場合はどうなる?

専業主婦の方の場合は、「仕事としては家事しかしていない」ので、家事の休業損害というかたちで計算するのが分かりやすいかと思います。
一方、兼業主婦の場合は、通常は保険会社が、

会社を休んでいないのであれば休業損害は出ない、
会社を休んだ分に関してはお給料が減った部分を補償します

と言ってくることがほとんどです。
しかしながら、

兼業主婦の方は、仕事もしながら家事ももちろんしているわけですから、
痛い思いをして会社に通いつつ、家事にも当然支障が出ているのに、
休業損害が全くもらえないというのは、不合理

ということになるでしょう。

法的な考え方は、

パート等の兼業主婦の場合は、
実際の収入と女性労働者の平均賃金を比較して、
どちらか高い方を基に、家事の休損についても算定する

という考え方がとられています。

ここも交渉次第ではあるのですが、

通常は兼業主婦であっても、
家事に支障が出た分をしっかり計算をして、
家事の休業損害いうかたちで請求していくことが可能

です。保険会社の担当者によっては、「会社に行って働けているのだから家事だって問題なくできていたでしょう」と言ってくることも少なくないので、ここもまた「交渉力」が問われるところです。
痛い思いをされて、家事をがんばっている方が泣き寝入りすることは理不尽ですし、何よりも法的に「補償されるべきものは補償してもらう」べきですので、ここも弁護士を頼っていただければと思います。