離婚の慰謝料って?
離婚の慰謝料とは,簡単に言えば,
離婚によって精神的苦痛を味わうことになったので,
それを慰謝するための慰謝料を払ってもらう
というものです。基本的には,離婚に至る原因を作った側が,その相手配偶者に対して,支払うべきこととされています。
有名なのは,
- 浮気,いわゆる不貞行為
ですが,その他にも,
- DVをした
- 家庭を顧みらずに遊び呆けていた
- 性行為を拒否した
- 勝手に家を出て行った
- モラハラや精神的虐待をした
といった理由でも,これによって離婚に至ったのであれば,その行為に対して慰謝料が発生すると考えられています。
慰謝料の金額は,
- 婚姻期間の長さ
- お子様の有無,年齢
- 原因行為の悪質性や頻度
- 夫婦の年齢
など,算定のための様々な要素が挙げられますが,その他一切の事情考慮して決定されるとされています。また,この離婚の際の慰謝料は,離婚成立時から3年の時効にかかるとされていますので,放置は禁物です。
不貞行為が原因となる場合には,不倫相手に対しても慰謝料請求ができますので,その点もポイントとなります。
・はじめはいくら請求すべきか
・最終的な落としどころはいくらなのか
・相手が否定した場合にのような証拠をそろえればいいか
・裁判まですべきなのかどうか
等,進め方も様々考えられますので,悩んだときは弁護士を頼ってくださいね。
年金分割って具体的にどういうもの?
年金分割については,平成19年より,離婚の際の一般的な制度として運用がなされています。
年金分割の仕組みについては,報酬比例部分と言いますが,
お給料に応じて年金額が変動する部分=婚姻期間中の厚生年金記録部分につき,
将来支払われる年金を,原則として2分の1の割合で分与してもらう
という仕組みになっています。このような制度ですから,国民年金のみ加入している自営業の方の場合は年金分割ができないと言うことになります。また,将来の年金が,まるまる半分に分割されると考えている方も時々いらっしゃいますがこれもまた違うということになります。
年金分割は,離婚後2年間の期間を過ぎてしまうと,請求ができなくなってしまいます。手続きとしては,比較的簡易な手続きで分割の請求ができますので,可能な限り離婚の際に取り決めておくとよいでしょう。
離婚の際の財産分与とは?どうやって分けるの?
離婚の際の財産分野とは,
「結婚している間に夫婦間で貯めた財産だから,離婚するときには2つに分けよう」
という考えによるものです。わかりやすいのは,夫婦で貯めてきた貯金や,購入したマイホーム,現金などですね。これらは,2人で結婚生活を支えあいながら築いた財産なので,原則として離婚のときには,2分の1に分けることとなります。
専業主婦の場合でも半分もらえるの?というご質問もよく聞きます。専業主婦の方は,実際にお金を稼いでいるわけではありませんが,家事という立派なお仕事をされてるわけですから,二人で頑張って仕事をして生計を立てていることにほかなりません。したがって, 専業主婦の場合でも原則として2分の1の割合で財産分与を行います。
結婚前の貯金は持っていかれないですよね?というご質問もよく聞きます。おっしゃるとおり,財産分与は,結婚生活における2人の協力体制を基礎とするものですから,例えば,
- 結婚前から貯めていた個人の貯金
- 結婚前に株で大儲けした現金
- 結婚前から持っている不動産
- 親からもらった相続財産
等は,「特有財産」と言って,財産分与の対象にはなりません。その個人個人がそのまま持ち続けることになります。
また,財産分与の対象財産を把握すべき時期は,離婚の時ではなく,原則として別居の時と考えられています。二人の間の財産がどのくらいあるか,の特定は,「別居の時」を基準とする,ということです。財産分与は夫婦間の協力で得た財産を対象とする以上,別居してしまうと,そういった協力関係が基本的にはなくなると考えられるからです。
したがって,
別居時には夫の通帳に300万円貯金があったのに
離婚時には100万円しか残っていなかった。
どこかに隠されたかも?!
という場合でも,原則として,この預金の財産分与としては,別居時を基礎に,半分の150万円払ってよと言うことができるのです。
財産分与の話し合いの場面でも,
- 「財産分与の対象となる財産が全部把握できているか」
- 「どこまでが特有財産なのか」
- 「割合はどうすべきなのか」
で争いになることが多いです。しっかりと法的知識を身に付けて,お話し合いに臨むことが大事です。
次回以降,具体的な財産分与のお話をしていきましょう。